地震に備える

帰宅難民十ヶ条

地震前に押さえておきたい実践的な10の事柄

外出中に巨大地震に遭遇した。交通は全面的にストップ。その時、身の安全を確保しながら帰宅する。リアルに被災現場を想定しながら10ヶ条を参考にして歩くこと、これが、サバイバル・ウォークだ。

しかし、巨大地震に、いつ・どこで遭遇するか誰も分からないから。これまで、さまざまな場面を想定した情報提供を心がけてきた。が、災害対策に万全・絶対はない。

起こることが確実な巨大地震に備えることを「日常生活の基本に据えて、試行錯誤しながら自分にふさわしい減災を実行する、すなわち「自分流減災術」を磨くことが肝要だ。

誰もが、人間が死ぬ確率は100%と分かっている、が多くの人は、よりよく生きる営みをつづけ「精一杯生きたぜ」と消えてゆく。「生と死」を統一して生きるのが人間だから。

「災害に万全・絶対の対策無しと自分流減災術を磨くこと」の統一は自然の理と思う。災害列島日本という特殊な地理的条件で減災対策の充実を図ることほど人間らしいことはない。減災は「人間の生命・人権を尊重する」人をいたわり協同する社会によって実現するのだから。

(代表 中原弘志)

自分の身は自分で守る,もしものときの心がけ 07年版

  • 第1条

    まずは 死なない 怪我しない 

    ケガをしたり命を落としたりすれば、帰宅困難者にすらなれません。家では家具、職場ならロッカー等の固定を行い、地震時に倒れてくるもの、飛んでくるものの無いようにしましょう。また、机の下の空間は避難場所になりますので、いつでも机の下に潜り込めるように、そこに物を置かないようにしましょう。地震の直後、ケガなどしなかった人は周囲に自分が無事であることを宣言しましょう。そうすることで、声すら出せない怪我人を消去法的に探し出すことができます。

  • 第2条

    家庭内 防災会議で 打ち合わせ

    災害時ではダイヤル「171」のNTTの災害用伝言ダイヤルが使用できます。家族で連絡を取り合い、自宅・家族の被害状況を確認しましょう。被災した場合に備え、事前に家族がどこに避難するかお互いに知っておきましょう。たとえば地元の小学校なら、その小学校の門の前で毎時0分にはそこに立って待つなどのルールを作っておけばなお良いでしょう。

  • 第3条

    情報を 選別できる 知識持つ

    地震後、様々な噂が飛び交うものですが、それらを鵜呑みにせず、信頼できる情報源、テレビ・ラジオ等で確認しましょう。また災害が起こる前から、災害に関する知識を身に付けていれば、情報の真偽を判断する助けになります。

  • 第4条

    帰りたい 気持ちだけでは 帰れない

    一般の人が歩き続けられる距離は20km程だと言われています。10kmならば殆どの人が歩き通せますが、1km増えるごとに10パーセントが脱落してゆき、20kmが一般人の限界とのことです。まして災害時では、道路に障害物が散乱し、歩くのに危険な状態になる事もあります。日没が重なればさらに帰宅は困難になるため、10km以内であっても日没前に早めに近くの避難所へ行って体力を温存し、翌日また家を目指す等の判断が必要になります。

  • 第5条

    必需品 知っているのは 自分だけ

    防災用品といえば、セットになった市販のものがありますが、それだけではなく、自分流に組み替え、または追加することが必要です。眼鏡、補聴器+その電池、コンタクトレンズ+その用品、というように、災害時に個人が必要となるものはそれぞれ違ってきます。防災用に新しく眼鏡を買うのも大変でしょうから、少し度が合わなくなって買い換えた時の古い眼鏡を防災用品袋に入れておくのも一つの方法です。その他に、いつも飲んでいる薬(血圧のため等)がありましたら、防災用品の中に常備しておき、差し替えながら薬を飲むと良いでしょう。そして防災用品の中に、自分の普段の健康状態や常用している薬の処方箋などのメモを入れておくと、災害後、同じ薬を手に入れられる助けになります。そして防寒着や非常食などは自宅だけでなく会社にも置いておくと良いでしょう。携帯電話の予備の電池も必要になります。

  • 第6条

    複数の 帰宅経路で 安全確保

    実際の帰宅ルートとしては、幹線道路を選んで歩きましょう。余震で物が上から落ちてきても逃げ場がある道幅である・広報の車両が通る・コンビニ、ガソリンスタンドが道沿いにある、等の利点があります。

  • 第7条

    気をつけて 地割れガス漏れ 落下物

    阪神・淡路大震災においても、路上の危険物は、瓦礫・ガラスの破片の散乱、倒れてくるブロック塀・電信柱・自動販売機、地割れ、垂れ下がる電線、落ちてくる看板・電柱のトランス・割れたガラス等、被災地では常に360度を見回しながら歩く必要があります。
    また、避難経路の中に「橋」が含まれる方は、その橋が耐震補強されているものかどうか確認する必要があります。耐震性が低い橋であれば、迂回路を事前に調べておくことが必要です。耐震性があるものかどうかは京都市の防災計画に記載されています。また、京都ではありませんが、大阪の南部などでは地震の後の津波の危険性もあります。そういった地域では、津波情報を把握し、すみやかに3階以上の鉄筋コンクリートの建物に避難することが重要です。津波情報をメールで配信するサービスもあります。

  • 第8条

    地図・水 トイレは コンビニで

    災害時には、帰宅支援ステーションとして機能するコンビニがあり、このステッカー

    で表示されています。トイレの供用、飲料水の提供(水道が機能している場合)、地図情報の提供を行います。ガソリンスタンドにも同様の取り決めがあります。自分の帰宅経路に帰宅支援ステーションがあるか、確認をしておきましょう。

  • 第9条

    揺れは おさまる 火事は広がる

    地震自体は数十秒で収まりますが、問題はそれからです。高いビルだと上層階では長周期の揺れが続きますし、エレベーターに閉じ込められるかもしれません。建物内で火災が発生した時、防火扉が建物の歪みで閉まらなかったりして上下階に延焼した場合、どう逃げれば良いのか考えておく必要があります。煙を吸わないように姿勢を低くし、非常階段を使って避難するなどの知識が必要でしょう。屋外において火災が広がった場合、火災旋風が発生し甚大な被害をもたらす事が予想されます。木造家屋の密集地が避難ルートにある場合は、その地域を迂回するルートを設定しておきましょう。状況によっては初期消火に協力される事も重要です。

  • 第10条

    連絡先 バックアップで 確実に

    最近では命の次に携帯電話が大事という人もおられるかもしれませんが、携帯電話も電池が切れれば役には立ちません。その時の事も考え、連絡先などは紙の資料で保管しておきましょう。災害時の安否情報に関して、固定電話・パソコン・携帯電話・災害用伝言ダイヤル・ブロードバンドインターネットでの災害用伝言板など、各社がサービスを提供しています。災害時に即利用できるよう、防災の日などに試用してみたり、ブックマーク登録を行う等しておけば安心でしょう。なお災害時、NTT電話回線の場合、被災地内から被災地外への通話は繋がりにくく、被災地外同士の通話は繋がり易いそうです。複数の人に自分の安否情報を伝えたい時、被災地外の人に各所へ連絡してもらえるよう頼むのも通話の混雑の解消に繋がります。

旧10ヶ条

  • 第1条

    家族に緊急帰宅ルートを事前に周知させる、安否確認家族ルール。

  • 第2条

    緊急帰宅ルートは情報量多く安全性の高い幹線ルートの選択第一。

  • 第3条

    道路は危険が一杯、油断禁物、橋の落下は迂回路を。

  • 第4条

    日頃から帰宅沿線上のトイレ対策、飲料水個所の所在確認を。

  • 第5条

    疲労は足元から、毎日一万歩歩くなど自分自身の健康管理を。

  • 第6条

    自分流の"帰宅難民グッズ"を常備する.

  • 第7条

    通勤沿線の危険地域(山・崖崩れ、津波、洪水など)の事前チェック。

  • 第8条

    地震、火災、台風、大雪、津波、爆発など災害の複合に、あわてない。

  • 第9条

    日頃から、緊急連絡ネットワークの依頼先づくりを。

  • 第10条

    携帯ラジオで報道機関、警察・消防署など正しい情報で行動し、デマで動かないよう心がけ。

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